日記9/26

 まだ蝉の声がまばらに聞こえて、昼になると蝉と蟋蟀が一緒になって鳴いている。夏休みが終わった。今月は漫画ばかり読んでいた気がする。将来的に死んでくれ、CITY、波よ聞いてくれ、ふたりモノローグ、明日ちゃんのセーラー服、あの娘にキスと白百合を、メイドインアビス、ショートケーキと加瀬さん、ゆゆ式、ふたりべや、月曜日の友達、はるかなレシーブあたりを先月末から読んでいた。この中ではCITYと月曜日の友達とメイドインアビスゆゆ式が飛び抜けて面白かった。読み終えるのに数日かかる漫画はだいたい好書に分類する傾向にある。数学書については夏季休暇の間は専攻から少し外れた本を読もうと思い立って、院試が合格発表まで終わった九月初旬から先週末に掛けてEtingofらの表現論の入門書と村上先生の結び目と量子群を読んだ。前者は入門書としてふさわしかったのかは知らない(序盤の誤植含む不備は多かったように思う)がともかく表現論について全く知らないという状態から脱却できたのは良かったと思う。後者については雰囲気を知りたいと思っていた量子群について、目的通り雰囲気を知れたのでこれも良かった。ただ普遍R行列のくだりはまたの長期休みに詳しい教科書を読んで深く知りたいと考えている。やりたいと感じた分野の本なり論文なりの証明が理解できないままなのは辛い。ところで自室のField Arithmeticが早くも威圧的なオブジェと化している。早くPACとモデル理論の関連の部分を読みたいが、先に言った通り今は深く体論をやるというより色々な分野を勉強したいという欲が強い(ブログのタイトルに早くも背いている)。これからは興味が無数の方向に発散して後々後悔することを意識的に避けねばならないのかも知れない。それ以外には友人から貰った梨木香歩の「家守綺譚」を読んだ。同じ著者の「f植物園の巣穴」も面白かったけれども、前者の方が現実と虚構の間*1の雰囲気が好みなのと、植物の名前に興味を持ち始めてから出会った植物がたくさん登場して嬉しかった。とってつけた説明としては:ストリートでは証明は正しさよりもリズムが大事なので、間違った一般化でも韻がよければ(そしてウケれば)それを吟じることが推奨されています。いちばん駄目なのは予め記憶している主張を適当に諳んじることで、ストリートならではの魂が籠っていない、死んでいる主張と見なされてその場でリンチされます。そういう風潮を嫌って「Counterexamples in Street Mathematics」がDover Booksから出版されたりしましたが、ストリートもむろん間違った数学を好んでいる訳ではないのでちゃんと主張をせず、相手に反例を返された場合はその場でリンチされます。つまりは「間違った主張を見過ごす方が悪い」というのが彼らの共通の認識なのでしょう。怖いですね。

 

*1:これは「あわい」と読ませたい、と意識して初めてもしかしたら色々な小説の「間」は「あわい」と読ませたかったんじゃないかな?と思った。しかしルビを振るのもなんだか恥ずかしい。